不安がどんどん押し寄せてくる。

また抱き上げられて移動した先はつーくんの診察室だった。

優しいつーくんの問いかけに正直に答える。

隠しても見抜かれるだけだし……

点滴をしてもらうと、気がつくと眠っていた。



次に目を覚ましたら、見慣れた部屋に居て、家に帰ってこれたんだと安堵した。

カチャ

その音と共におでこに手が置かれる。

「まだ微熱だなー」

「ん……あ、おい?」

「あ、みぃ目が覚めた?」

「…うん……部屋?」

「そう、司さん帰っていいって言ってくれたから」

「よかった……」

「今、体どう?」

式場の時の重さや怠さはなくなっている。

「軽くなったよ。点滴のお陰かな…」

「よかった。でもまだ微熱残ってると思うんだよね。一回計ってみて?」

そう言って手渡された体温計。

「はぁい」

微熱の感覚がイマイチ分からなくて、素直に受け取る。

「何か食べれそう?」

「うーん…お腹は減ってないかな…」

「そっか……ゼリーとかはどう?」

いつもはゼリーだけじゃ駄目って言う葵からのゼリーの提案。

「ゼリーなら」

「分かった。持ってくるね」

そう言葉を落として、部屋を出ていった葵。

今、何時なんだろう……

そう思い、部屋の時計を見ると、10時だった。

窓の外は暗いから、夜だ……

葵がいつもまだ起きてる時間で良かった……

ピピ、ピピ……

カチャ

体温計が鳴ったと同時に葵が部屋に戻ってきた。

「体温計なったみたいだね。これ、ゼリー食べれるだけたべて?その後薬飲もう」

「はぁい」

そう言って、私の体を支えながら起こしてくれて、ゼリーと薬の袋を手渡した葵。

葵は体温計の表示を見ながらメモをしている。

「高い?」

「ううん、37.3℃だから、下がってるけどあと少し下がりきらない感じだね」

「そっか……」