❲あ、司?みぃ、ぐったりしててさ、部屋じゃできる事限られてるからそっち連れて行く。葵は朝は特に気になる事はなかったって言ってる。軽く診察した感じ、貧血はある❳

「葵、喘鳴あった?」

車に乗り込んですぐ、かな兄は司さんに連絡してくれた。

「朝はなかったけど、今は少し聞こえた」

「了解」

❲朝はなかったけど今は少しあるって。そっちの準備頼むな。ここからだと30分くらいで着くと思う。うん、よろしく❳

「司に連絡入れたから大丈夫だよ」

「かな兄ありがとう。司さん何か言ってた?」

俺の判断、間違ってたかな……

「葵は、みぃの事よく見てるなって言ってたよ」

予想とは違う言葉に驚く。

「え?」

「結婚式とかパーティーの雰囲気って普段とは違う、非現実的な事だろ?だから、浮かれるって言うか、気持ちも大きくなるって事多いんだよ。だけど、隣に居るみぃの事、ちゃんと見てくれて有り難いなって」

「確かに非現実的だけど、それとみぃの体調は違わない?」

かな兄達の言ってる事がイマイチ理解出来ない。

大切な人が側に居るのに、自分だけ楽しんじゃうって事だろ?

「大人でも目の前の楽しい事に気を取られてしまって、近くの人を気遣うって事が難しい人が居るのに、サラッとやってのける葵は、凄いなって事」

「でも、結果的にみぃは体調悪くなってる訳だから、全然凄くないよ……」

「ま、後は司と話すんだな」

みぃが辛そうなのに、かな兄はどこか楽しそうだった。


暫く車を走らせると、見えてきた病院。

それを見ると安心するのは、司さんが居てくれるからなんだろう。