かな兄と話しながら計った体温は、37.8℃。

これからまだ上がってくるかも知れない。

「はぁ……はぁ……」

徐々に息が上がってる。

司さんにも連絡入れておこう。

piririri…
❲はい❳
❲もしもし、葵です❳
❲どうした?日向の結婚式無事に終わった?❳
❲はい、終わりました。終わってホテルのロビーで休んでる時にみぃの脈を確認したんです❳
❲葵、なかなかやるな❳
❲や、なんか不安だったんで、確認したかったんです❳
❲で?❳
❲脈が早くて…辛くないか聞いたら、さっきから体が重いって言い出して❳
❲うん❳
❲それで、休める部屋に移動して今はベットで寝かせてます。かな兄に、診察セット持ってきてもらうようにお願いしてるところです❳
❲分かった。酷くなりそうならこっち連れてきて❳
❲はい。さっき体温計ったら、37.8℃でした❳
❲うーん、その熱怪しいな❳
❲はい。なので、診察して怪しかったら連れていきます❳
❲了解。葵、頼んだよ❳
❲はいっ!❳

こうしてまだ半人前の俺に任せてくれる司さんも頼れる先輩だ。

コンコンコン

「葵?」

かな兄の声が聞こえた。

「はーい」

ドアを開けるとかな兄が荷物を持って立っていた。
「これ、頼まれてたの持ってきたんだけど」

「ありがとう。」

そう言って荷物を確認して、診察セットと、みぃの着替えを出す。

「みぃ、まだドレスだったんだな。着替え手伝おうか?」

「お願いします」

ほんとは嫌がるかもだけど、今の状態で、俺一人で着替えさせるには時間が掛かりすぎる。

「みぃ、着替えようね」

そう声をかけてからかな兄と二人でみぃを一度抱き起こした。

着ているドレスを脱がせて、今朝着てきたシャツワンピースを着せる。

「……あ、おい」

「ん?どうしたの?どこか辛い?」

突然みぃに呼ばれて、みぃの手を握る。

「ごめ、ね」

「どうして謝るの。みぃは、ちゃんとひな兄と由奈さんの結婚式出れたんだし、良かったじゃん。謝ることはないんだよ」

そう言って、頭を撫でると、ポロポロ涙を流したみぃ。

「だって……あおいと、いっしょ、かえりたい」

「うん、帰ろうね。でもその前に診察させてね。みぃが辛いままはしんどいでしょ?」

そう言って、頭を撫でて、握っていた手を離して、診察の準備を始める。