みぃの側から離れて、ロビーを見渡すと中原さんがいた。

「中原さんっ!!」

「葵様。どうかされましたか?」

「みぃが体が怠いみたいなんで、休憩できる場所を探してるんですけど、どこかありますか?」

「お部屋を何室か借りているので、案内致します。美晴様はどちらですか?」

冷静に対応してくれる中原さんが居てくれて良かった。

「こっちです。みぃ、移動出来そうかな?」

みぃの元へ戻ると、ソファーの手すりに頭を預けていた。

「あ、おい……はぁ」

一気に辛くなったみたいだな。

「休める所に移動しよう。抱き上げるね」

そっと姫抱きにする。

人が疎らになっていて良かった。

あまり目立つのは嫌がるから……

そう思いながら歩みを進める。

「こちらでございます」

中原さんは、すぐ近くの部屋を案内してくれた。

「ありがとうございます」

「いえ、また何か必要な物がありましたら、フロントまでお申し付け下さい」

「ありがとうございます」

そう言いながら、みぃをそっとベットに降ろす。

中原さんはそっと部屋を出ていった。


「みぃ、ドレス緩めるね」

そう声を掛けながら、背中のファスナーを少し下ろす。

ぐるりと部屋を見渡すと、看病セットが準備されている。

流石中原さん。

準備が抜かりない。

体温計を脇に挟んで、かな兄に電話をする。

piririri…
❲はい❳
❲もしもしかな兄?葵だけど❳
❲どうした?❳
❲みぃとロビーのソファーで休憩してたんだけど、脈が早いくて、辛くないか聞いたんだ❳
❲それで?❳
❲体が重いって言うから、ひな兄達が借りてくれてる部屋に今居るんだけど、俺の荷物、ロビーに置きっぱなしなんだ。持ってきてもらえたら助かるんだけど…ごめん❳
❲謝ることないよ。みぃの異変に気づいてくれてありがとう。何号室?❳
❲えっと、302号室❳
❲分かった。待ってて❳
❲お願いします❳

やっぱりかな兄は頼りになる兄ちゃんだ。