点滴室の椅子に腰掛けると

「今から、喘鳴を抑える薬を入れるからね」

司さんから説明があった。

「うん」

「終わったら今日は帰って大丈夫だよ。ちょっといつもよりキツめの飲み薬出しておくからね」

「それ飲んでたら大丈夫かな……」

「副作用はもちろんあるけど、体調を整えてくれるからね。発作とかは出にくくなると思うよ」

「そっか。お式までは大人しくしておくのがいいのかな…」

「そうだね。そうするのが一番いいよ。それにしても体調管理の仕方が予行練習みたいだね」

「え?何の?」

「みぃと葵の結婚式の」

「ちょ、ちょっと司さんっっ‼」

突然何を言い出すかと思ったら……

「え?葵は考えてるでしょ?」

わー、司さん絶対楽しんでる。

「司さんは分かってるのにそんな聞き方するんですよねー。もちろん考えてますよ」

「へ?」

「いつも言ってるじゃん。俺はみぃとの未来しか見てないって」

こう言っても、みぃにはいつも流される。

「葵にも選ぶ権利はあるんだよ?無理しなくても、誰も怒らないよ?」

ほら、自分には関係ないっていうこの感じ。

「だから俺はみぃを選んでるし、無理はしてないよ」

「みぃは手強いね、葵」