「胸の音ちょっと聞いてもいい?」

「……うん」

葵は聴診器を準備して、すぐに聴診を始めた。

「うーん………あまり音良くないなー。昨日の夜に発作とか息苦しさとかあった?」

「ううん、それはなかったよ」

「ちょっと司さんに確認するから待ってて」

そう言って葵はつーくんに電話を掛けた。

❲もしもし、朝からすみません。葵です❳
❲みぃが朝起きてきてから、息がしづらいと言ってて。聴診したら喘鳴が聞こえるんです❳
❲はい。でも発作とか息苦しさとかはなかったって❳
❲はい。受診したほうがいいですか?❳
❲わかりました。今日一日様子見ます❳

電話が終わると葵はニッコリ笑った。

「みぃ、今から吸入しよう。そしたら、受診は今日はしなくていいって」

「ほんと?」

「但し、今日発作が出たらすぐに病院だよ」

「分かった」

つーくんも葵も、二週間後に控えている結婚式に参加出来るように考えてくれている。

私も無理しないように頑張らなくちゃ。

吸入も無事に終わり、ソファーに座ってちょっと休憩。

少し息はしやすくなった気もするけど……

なんとなくまだ違和感がある。


無理しないって約束してから、体調不良や発作前の前兆が少しずつ分かり始めてきていたこの頃。

最近も無理してたつもりは、なかったんだけどなー。

何だか悔しい……

気分が落ちていくのが分かる。