「病院……行く」


ポツリと呟いてから、周りの行動は早かった。

20分後には病院の待ち合い室に居たんだもん。

彩さんの主治医の守山先生が診てくれる事になった。

かな兄のお友達と言うことで何回か会った事のある先生だった。

葵は私を抱き上げて診察室へ入っていった。

「みぃちゃん、久しぶりだね。こんにちは」

守山先生は優しい笑顔で待っていてくれた。

「「こんにちは。守山先生」」

「おぉ谷口じゃん。そういう事?」

「はい。そういう事です」

「彼方と日向の可愛いみぃちゃんには、既にナイトがいるって訳ね」

「…っっ!!」

さっきからまた痛みが増してきてて、ギュッと葵の胸に顔を埋める。

「みぃちゃん、痛そうだね。診察しようか。婦人科は初めてかな?」

守山先生の問にコクンと頷く。

「そうなんだね。じゃぁ、今回は谷口に側に居てもらう?それとも待っててもらう?、」

怖いし不安だけど、恥ずかしいのもあって迷っていると……

「カーテンで仕切られてるから、谷口が居る方は見えないよ」

その言葉を聞いて

「側にいて…」

「分かった。みぃ、守山先生なら大丈夫だからね」

「うん」

葵の顔を見ると安心できた。

守山先生はすぐに内診台へ案内してくれた。

葵は私の頭の所に居てくれて、そっと手を握ってくれた。

「怖くないからね。ふぅーって深呼吸してね……いくよー」

先生の声に合わせて息を吐く。

「っっ!!」

突然の痛みに思わず葵の手をギュッと握った。

「息止めたら痛いよ。ゆっくり吐いてー」

「っっ‼ やだっ…… いたっっ……」