「みぃ……みぃ……」

いつの間にか眠ってしまっていたみたいで、誰かの声で意識が浮上する。

「ん……っっ‼」

起きた途端に襲ってくる痛み。

痛さに耐えるために体に力を入れて縮める。

そっと私の体を抱き締めてくれた葵。

「みぃ、痛いね。辛かったら病院行こうか?」

男の人にはこの独特の辛さはきっと分からないだろう。

でも、理解しようと少しでも楽になるようにと努力してくれる葵の存在がありがたい。

安心感を与えてくれた葵。

でも、じわじわと迫ってくる痛みに加えて吐き気もしてきた。

「あ、おい」

「ん?どした?」

「は、きそ」

「……え?」

今まで生理中に吐き気まではなかったから、葵も驚いている。
「ちょ、ちょっと待って。もう少しだけ」

そう言葉を残してそっと私をソファに凭れかけさせてから、バタバタと離れていった葵は、1分もしないうちに戻ってきた。

手には容器と袋、ウエットティッシュと水があった。

ガサガサと準備をしてから、もう一度私に近づいた葵は、ゆっくりと背中をさすり始めた。

「みぃ、辛いね。俺、側に居るからね」

温かい言葉が心まで温かくしてくれる。

徐々に競り上がってくる吐き気。

ケホケホッ…ゲホゲホッ…

オェ…ケホケホ…オェェ……

せっかく食べた朝食が出てしまった。


ヒック…ヒック

「泣かない泣かない。大丈夫だから」