「母さんが新、お泊まりさせてもいいって言ってくれてたけどどうする?」

「そうなの?新には毎日心配かけちゃってるし、お泊まりの方が喜ぶかも知れないわね」

「じゃぁ、お泊まりのお願いするよ。彩もしっかり休めるときに、休まないと体持たないからね」

「うん、ありがとう」

新の時よりは随分マシな様に思う悪阻でも、やっぱり辛そうだ……



Piriririri…

〔もしもし、彼方だけど❳
〔彩さんどう?❳
〔俺が家に帰ってからは吐いてはないけど、やっぱり辛そうで…新にも心配掛けてるからって彩が。だから、新の気分転換も兼ねてお泊まりお願いしてもいいかな?❳
〔そうなのね。こっちは大丈夫よ。新の着替えとかもあるから、彼方はそのまま彩さんの側に居てあげてちょうだい❳

母さんからの有り難い言葉。

〔ありがとう。そうするよ。新の事よろしく❳
〔任せて。こっちには人手は十分あるからね❳

そう言って電話を切った母さん。

きっとみんなから甘やかされるんだろうな。

でも、それも新にとっては良いことだろう。

甘えられる存在が親以外に居るということは、逃げ道にもなるし、必要な事だな。



赤ちゃんが産まれると言うことは、新にとっても兄ちゃんになる為の小さな試練の始まり。

その為に我慢する事も増えるだろう……

その我慢の限界が来る前に逃げ道が確保されてるのは有り難い事だ。



寝室をそっと覗くと丸まりながら眠っている彩。

『彩、頑張れ』

本人には直接言えない言葉を心の中で呟く。

『お腹の赤ちゃんが無事に育ちますように……』


新年の願い事はこれにしよう。

新しい年の始まりに願った願い事は、半年後に無事に叶いますように……