「母さん、一度彩の事見てくるから、新の事よろしく」

「分かったわ。もし。大変そうなら、あっくんお泊まりでも大丈夫だから」

「助かる。じゃぁ、少しの間抜けますが、楽しんでください」

親戚への挨拶も忘れずに。

「彩さんによろしくな」

「赤ちゃん楽しみにしてるって伝えてね」

等色々温かい言葉を頂いた。

「ありがとうございます」



徒歩5分の距離を早足で歩く


途中にあるコンビニに寄り、必要な物を考えながら買って、再び家路を急ぐ。


そっと鍵を開けて、部屋に入る。

寝室を覗くとベットに丸まっている彩を見つけた。

「彩…ただいま。どう?」

「おかえりなさい」

彩はゆっくりとこちらへ寝返りを打った。

「横になってる方が楽?」

「今はこの態勢が楽なの」

「ゼリー買ってきたけど、食べれそう?」

「あれがいい」

彩が言うものは、はちみつレモンを凍らせた氷。

前回の悪阻の時も唯一食べられた物。

この寒い時期でも、彩の体が受け付けてくれる物は限られてるから、欲しいものを、食べれればいいと思う。

「用意するから待ってて」

冷凍庫からコップに数個入れて、寝室へ戻る。

「彩、口開けて」

俺の言葉に小さく口を開ける彩。

そこに氷を入れると、コロコロと口の中で氷を転がす彩。

今は安心して食べられるものの一つだ。

「色々させちやって、ごめんね」

「そんな事言わない。彩は大事な命を守って育ててくれてるんだから。俺が出来ることはしたいんだ」

「ありがとう。元気な赤ちゃん産むからね」

そう言った彩は頼もしい母親の顔だった。