でもやっぱりそんな思考を邪魔するのは、この身体。


ここ数日ママと一緒に生活していて、少し無理をしていたみたい。

ソファーの背もたれに凭れて、そっと瞼を下ろす。


ママの声が心地いい。





「ただいまー」

「葵くんおかえり」

「ただいまです」

ママと葵の声が聞こえる。

お出迎えしたいのに、ごめんね……


「あれ、みぃ……あ、寝ちゃってる……」

「そうなの、電話してる間に寝ちゃったみたい」

「部屋に運びますね」

「ありがとー」

私を見つけた葵は、そっと私を抱き上げてくれた。



葵の腕の中で目を開ける。

「あおい、おかえりぃ」

「っっわっ……ビックリしたー。みぃ起きてたの?」

私の声に驚いた葵。

「ちょっと疲れちゃったみたい」

私の言葉を聞いて真面目な顔をした葵。

「取り敢えず部屋に行こう」

少し早足で、部屋まで行って、ベッドに寝かせてくれた。

「どこか辛いところある?」

そう言いながら聴診器を出す辺り、お医者さんだな……

「ううん、怠いだけ。ママとお料理楽しいし、ちょっと無理しちゃったのかも」

思わず苦笑い。

そんな私を余所に聴診をする葵の顔は真剣で……

少しだけ心配になる。



「うん。音は悪くないし大丈夫かな。最近自分から休めるようになって、偉いね」

そう言って頭を撫でてくれた。