「美緒はね、昔、レストランで働いていたんだよ。自分で店を出したいって夢があったんだけど、俺と結婚するには仕事は続けられなくて………美緒の中では苦渋の決断だっただろうね」
「そうだったんですね………でもおじさんの会社、飲食店もありますよね?」
「あぁ。美緒の夢を叶えてやりたくてね。飲食店の事は、美緒に任せているんだ。美緒はとても楽しそうだよ」
やっぱりおじさんは凄い。
おばさんの夢を叶えるために、お店出しちゃうんだから………
みぃとおばさんが料理をしている間、俺とおじさんは色々な話をした。
今まで知らなかった事が沢山あって、俺が見ている世界はまだまだ狭いんだと実感して、刺激を受けた。
「そうそう。湊はいい仕事してくれるようになってきたよ」
「兄貴が?」
「はは。葵くんが驚くのも無理ないか。入社したての頃はまだまだだったけどね。彼方と一緒に働く様になって、変わったかな」
「兄貴は、かな兄と一緒に働くのは楽しいって、言ってました」
「彼方にズバズバ言えるのは会社では湊ぐらいだからね。みんな頼りにしてるんだよ」
「母さんが聞いたら喜びます。入社してすぐの頃は心配してましたから」
兄貴は城之内カンパニーに就職して本当に良かったと思う。
環境って大事だな………

