「主役が寝ちゃったし、俺らもそろそろ帰ろうか」

「そうだね。ここだけ片付けちゃお」

桜はテーブルの上にあったお皿とコップを集めてキッチンへ持っていった。

「桜ちゃん、ありがとう。後は私がやるから大丈夫よ。山内先生と仲良くね」

前園さんの言葉に、照れながら小さく頷いた桜の後ろ姿があまりにも可愛かった。


「じゃぁ、みぃによろしくね」

「またみぃに連絡するって伝えといてねー」

俺と桜は、それぞれ伝言を頼んで、みぃの家を後にした。












「「………………」」

駐車場まで無言で歩く。

「ねぇ」「なぁ」

車に乗り込んで、二人の言葉が重なった。

「桜から言えよ」

「ううん、司から教えて」

「………答え、出た?」

「ふふ。私もその事を話そうと思ってたの。………………待たせてごめんね。えと………私で良ければお願いします」

その言葉を聞いた瞬間、じわじわと熱が体を支配した。

「………………………ほんとか?俺でいいの?」

俺からプロポーズしときながら、実際答えを貰うと急に不安になった。

「ふふ。私は司がいいの。司こそ私でいいの?一回りも下だよ?」

「そんなのは、付き合う前から分かってる。俺は桜だからいいんだ」

そう言いながら桜を抱き締めた。

良かった……
 
答えを聞くまで長かったけど、急かさず待って良かった。





俺と桜の新しい一歩を踏み出した瞬間だった。