「葵、湊に運んでもらえて良かったわね。湊、ありがとうね」

「へへ、俺は大したことしてないよ。彼方待ってるし、俺はこのまま仕事に戻るよ。葵、早く良くなれよ」

兄貴は、照れながら仕事に戻っていった。


「ふふ、湊、照れていたわね」

「兄貴もあんな風に焦るんだね」

「湊は、褒められると、すぐに照れちゃうのよ。さ、葵とりあえず熱計って?」

母さんは抜け目なく、俺に体温計を手渡した。

俺は苦笑しながら体温計を受け取った。

俺は素直に体温計を挟んだ。

ピピ、ピピ、ピピ、

「うん、微熱ね……葵、今日はこのまま泊まりなさい。このまま葵が帰っても、日向くんに迷惑掛けちゃうだけだし」

確かにそれもそうか……

ひな兄も、たまにはゆっくりした方がいいだろうし……

「そうするよ。母さん、ごめんね」

「何言ってるの。子どもは親に甘えるものなのよ」

やっぱり母は偉大だな……


「葵が久々に帰ってきてくれて、嬉しいわよ」

母さんに、寂しい思いさせちゃってるんだな……

たまには帰ってこないとな………

「また元気になったらみぃと一緒に遊びに行くよ」

「是非、そうしてちょうだい。みんなで楽しく過ごす方が好きよ」

母さんが喜んでくれるなら、しなきゃいけない事だなと実感した。