「あ、樹さん。傍にいてくれたんですね。ありがとうございます」

やって来たのは、みぃちゃんが待ち望んでいた葵。

葵は、みぃちゃんのチェックシートに目を通して、点滴の速度や酸素マスクの濃度等に目をやってから、椅子に腰掛けた。

「葵……医者になったんだな」

「え?何ですか急に」

俺の言葉に驚く葵。

「いやー、椅子に座るまでの動作が医者らしいなと思ってさ」

「あー……ずっと傍に居るわけにはいかないですからね。俺の知識なんてまだまだですけど、みぃの力になりたいんです」

「うんうん、良いことだな。ところで、みぃちゃんの力になりたい葵くんに少し相談なんだけどさ」

「……何ですか?」

少し不安そうな表情の葵。

「みぃちゃん、少し治りが悪いでしょ……だから少し強めの薬に変えてみるのはどうかな?」

「…………え?」

「このままだとみぃちゃんの体力がどんどん奪われていくからさ……薬変更してみるのどうかな?」

「……俺が決めてもいいんですか?」

「もちろん司にも相談するよ。でも、今一番みぃちゃんの傍にいて、みぃちゃんを看ているのは葵だから。だから、相談」

葵は、顎に手を当てながら少し考えている。

「………とりあえず、熱を下げてあげたいですね」

「だな。司にも相談だな」