また意識が浮上する。

手に違和感があって、見てみると葵が手を握ってくれていた。

……嬉しい。
 
葵は私の手を握りながらベッドに頭を預けて眠っている。

キュッと握り返すと、ガバッと一起き上がった。

「みぃ‼‼」

「……?」

どうして焦ってるの?

「目が覚めたんだね。よかった……」

「あ、おい?」

不思議そうな私を見て苦笑した葵。

「みぃ、一度目を覚ましてから丸1日眠ってたんだよ。でも熱は少しは下がったんだけど、まだしんどいでしょ?」

「ケホケホ、前より、マシ……」

「みぃが眠ってる間に血液検査したんだけど、結果はまだ出てなくて……」

合併症を心配してくれてるんだな……

「ケホケホ、ケホケホ……」

なんだかさっきから咳が止まらない。

それに気づいた葵が少しベッドをあげてくれた。

「……ちょっと聴診させてね」

葵にされるのは恥ずかしいけど、抵抗する気力も体力もない……

真剣な顔してる葵は、珍しい……


「ちょっと司さん呼ぶね」

そう言って、院内専用の携帯で電話し始めた葵。

❲司さん、みぃが目を覚ましました。咳が出てきてるので一度診察お願いします❳
❲はい、俺もしてます。…………怪しいですね。お願いします❳



「ケホケホ、つーくんも来るの?」

「うん、みぃの様子見に来るって」

葵はまた手を握って安心させてくれている。