前園さんは、みぃの手強さを知っている一人だ。

「今は救急で診てもらってる」

「落ち着くまでは入院ですか?」

「その方がみんな安心だと思う」

「そうですね。入院セットまた持ってきますね」

「よろしくね」

「じゃぁ、お待ち頂いてる患者さん通しますね」

「よろしく」

それから外来の時間が終わるまで、樹からは連絡はなかった。



外来が終わったら急いでみぃの病室へ向かう。

そっとドアを開けると、点滴に繋がれ、アイスノンで冷やされて、苦しそうに呼吸をするみぃがいた。

「みぃ……」

まだ意識戻ってないか……

診察をする。


ピピ、ピピ、ピピ

体温も計る。

40.3

んー、下がんないなー

意識が戻るまでは心配だな……

他の症状も分からないし……

でも、40度越えてるから辛いだろうな……


ガラガラ

「あ、司さんお疲れ様です」

葵がやって来た。

「葵、お疲れー」

「みぃ、まだ意識戻らないですか?」

「んー、まだだね……熱も高いし、体が休息を必要としてるんだろうな」

俺の言葉を聞いて、葵はみぃの頭にそっと触れた。

「みぃ、頑張って」

起きてるときには決して言わない“頑張れ”。

本当は言いたいんだろうな……