葵の姿が見えなくなってから、みぃに視線を向ける。

こんな苦しそうなみぃを見たい訳じゃない。

判断間違ったかな……

その時、ポンと肩に手が置かれた。

「司は間違ってないよ。これは予防しててもなる時はなるんだから」

「そうだけどさ……せっかく検診に来てるのに辛い思いさせちゃ意味がないだろう?」

「司の専門は呼吸器。発作が頻発してる訳じゃないんだから、大丈夫」 

そうだけどさ……

やっぱり責任感じる。

「葵も日向も居るんだし、大丈夫。みんなで見守ろう。俺も協力する。司一人で背負わなくていいよ……さ、早くみぃちゃんを楽にしてあげよう」

樹の言葉に頷いて、みぃの治療を始めた。


インフルエンザの薬を入れて、様子を見る。

熱が下がれば安心なんだけど、そう簡単に安心させてくれないのがみぃだから、俺はソワソワしながら待っていた。

その間にも俺の他の患者は居るわけで……

「悪い、呼び出しだ……任せていい?」

「もちろん。何かあればすぐ連絡する」

「助かる。ごめんな」

樹にみぃを一旦任せて、通常の外来に戻った。



「前園さん、ごめん」

「いえ、みぃちゃん大丈夫ですか?」

「インフルエンザだったよ。この前の検診の時にもらったのかも……」

「インフルエンザ……合併症が怖いですね……」