葵を見ると目があった。

「司さん、心配だね。後で一緒に様子見に行こう」

「……怒ってる?」

「どうして?心配なのは俺も一緒。二人の時間はいくらでも作れるから、今は心配な事を最優先しよう」

ほんと葵にはかなわない……

「ありがとう」

「お礼を言われることなんて何もしてないよ。ただ、朝ごはんちゃんと食べてからじゃないと行かせないよ」

葵の徹底ぶりには困る……

「えー。つーくん心配だもん、早くいこうよ」  

「ダメ、朝ごはんが先。桜もずっと側にいなくていいって言ってたから大丈夫」

こういう時の葵には、何をいってもダメだと一緒に暮らして学んだんだ。

「……分かった」

そう言ってキッチンへ向かう。

「もう準備すんでるからみぃは座ってて」

「ありがとう」

「はい、これだけは頑張って食べること」

そう言ってた並べられた朝食は、頑張れば全部食べきれる量のもの。

「……頑張る……」

そう言わないと、食べきらないとつーくんのとこへ行けないし、頑張らなきゃ。

「頑張らなくても食べれるようになってほしいんだけどね」

苦笑する葵を横目に朝食と格闘する。

栄養バランスの考えられた朝食は、葵とひな兄が作ってくれたもの。

こんな優遇されたこと感謝しないといけないね。

「葵、いつもありがとう」

「ん?どうした急に」

「ううん、言いたくなっただけ」

にっこり笑うと葵に頭をポンポンとされた。

「みぃは俺にとって大切な人だからね。その為なら頑張れるんだよ」

葵の言葉はいつも優しくて、なんだか泣きそうになる。