「私だ……桜?」

そう言いながら、電話に出る。


❲もしもし、桜?どうしたの?❳
❲あ、みぃ。今日予定あったりする?❳
❲ううん、ないよ。桜仕事でしょ?どうしたの?❳

こんな時間に連絡してくることが珍しいもん。

❲いや、私じゃなくて司がさ……❳
❲つーくん?どうかしたの?❳
❲熱だしてて……今寝込んでるんだ❳
❲え……つーくん大丈夫?❳
❲ちょっとキツそうだったから、もし予定ないなら見に行ってほしいなと思って❳
❲行く‼すぐに行くね‼❳

携帯を葵に渡して、出掛ける準備を始めようとしたら、

❲あ。ちょっと待って待って❳

葵がスピーカーにしたのか、桜の声が携帯から聞こえてきた。

❲どうして?❳
❲看病に必要な物とかは用意しておいたから、取りあえず、時間がある時にでも顔だしてくれたらいいから。ずっと側にいなくても大丈夫だからね❳

でも辛いときは誰か側に居て欲しいんじゃ……

そう思って葵を見ると、頷いてたので、とりあえず返事をする。

❲うーん。分かった❳
❲私、今日は日勤だから夕方には帰れるから、それまでに何かあれば連絡ちょうだい❳
❲了解‼ 桜、お仕事頑張ってね‼❳
❲ありがとう❳


切れた携帯を見つめる……