ある日の朝……

「みぃ、おはよ」

「んー……葵……おはよ」

「今日はどう?」

「……大丈夫」

私の言葉に小さく頷いた葵は、いつものように私を柔らかい毛布にくるんで抱き抱えて、リビングへ運んでくれる。

どうしても朝はなかなか目が覚めない……

葵の腕の中が心地い……


ソファーにそっと降ろされて、重たい瞼をゆっくり押し上げた。

「おはよ。目が覚めてきた?」

私のこんな姿も嫌がることなく受け入れてくれる葵には日々感謝しかない。

「んー……葵、ギュッてして」

思わず手を伸ばしてしまう……

「はは、今日のみぃは甘えん坊だな」

毛布ごとギュッと抱き締めてくれる葵。


「みぃ、今日の予定は?」

「特にないから、お家のことするよ。葵は昼からだよね?」

「うん、少しのんびりしようか」

昨日の夜から、ひな兄と由奈さんは、二人揃って夜勤だった。

だからこの家には二人しかいない……

「あおいー」

「ん?」

「こんな何でもない時間を一緒に過ごせるのって……幸せだね」

「ふふ。そうだね」

朝から二人でのんびりした時間を過ごそうとしていた時……




pipipipi……

突然電話が鳴り響いた。