熱がようやく下がったのは、救急車で運ばれてから、2週間後だった。

高熱が続いたせいで、理想だった体重は落ちて、体力もなくなってしまった。
美晴の体力が戻るまで、暫くは入院する事になったんだ。



「美晴、入るよ」

美晴の病室の前に立ち、ノックはせず声をかける。

美晴は、眠っていても、ノックの音で目が覚めてしまう事もあるので、寝れている時は寝かせてあげたいと思っている。

そっと病室へ入ると、酸素と点滴を付けた美晴がベットに横たわっていた。




まだ、落ち着かないか……



「早く良くなりますように……」

そっとおでこに手を当てて、呟いた。

母さんが体調を崩した美晴に良くやっていて、俺も兄貴もいつの間にか、おまじないの様にやってしまっている事だった。

医者がおまじないだなんて、きっと笑われるんだろうけど、美晴の体調の為なら、俺たち兄弟はきっとやり続けるんだと思う。


俺は、そっと病室を後にして、医局へ戻った。