Piriririri……

❲もしもし❳
❲日向、湊だけど❳
❲湊……みぃダメになった?❳
❲すっげーぐったりしてて、熱も高いと思う❳
❲分かった。今から病院に連れて行けそう?❳
❲あぁ、すぐ連れていくよ❳
❲とりあえず連れてきて。俺、病院の玄関で待ってるから❳
❲分かった❳

「みぃ、すぐ病院行くからな」

みぃの荷物を持って、ぐったりしているみぃを抱き上げる。

「え?……」

みぃの軽さに驚いて思わずでた声。

軽すぎだろ……

そんなことを思いながら車へ急ぐ。

車には運転手が待機してくれているから、行き先を告げて、後部座席へみぃを抱いたまま乗り込む。

俺はこの数時間の出来事を思い出していた。

確かに朝から顔色は悪かった。

でも仕事に支障が出るくらいじゃなかったし…

だけど、俺が会議室へ行ってから戻って来るまでの間に悪化した体調。

急激に悪くなって、正直驚いた。

しかも、近くにいる人に頼らなくて、限界まで我慢するなんて……

そりゃ、彼方も日向も葵も心配するわけだ。

可愛い妹や彼女がこんなぐったりして辛そうな姿は、出来るなら見たくないもんな。

体温だけでも計っておいた方がいいか……

あ、でも、車にはないか……

一応運転手の松本さんに聞いてみよう。

「松本さん、体温計って、ここにあります?」

「後部座席のかごの中に入ってると思うのですが……」

かごかご……

「あ、ありました。何でもあるんてすね」

「この車で美晴様を迎えに行くこともあるので、何かあった時のために、準備はしています」

流石だな……