新の行動に、思わず彩と目を合わせた。

子どもの行動って、素直でかわいいなー。

「新。大丈夫だよ。怖いことは何もないからね」

俺の言葉に小さくうなずいた新。  

夜間の為、夜間診療出入口へ向かう。


受付を済ませた彩は、俺の隣に座り、新を抱き上げた。  

「新の知ってる先生だといいね」

頷いた新は、さっきからぐずぐず言いつつも、ぐったりしている。

「お熱計ろうね」

彩は問診票と共に体温も計った。


ピピ、ピピ、ピピ……

「んー上がってる……病院に来て正解だったね」

彩は苦笑する。

表示を覗き込むと38.4の表示。

そりゃ、新もぐずるわけだ。
 

「城之内新くんどうぞー」

看護師に呼ばれて診察室へ入る。


「おー、新じゃん。どした?」

「ありゃ、新。珍しいな」

まさかの樹と葵だった。



「いっくんとあおいだ……」

見知った顔に新の緊張も少し解けたようだった。

「んー辛そうだな……葵、診てあげて?今小児科の研修だろ?」

「はい」

樹の言葉に頷いた葵。


「新。ちょっと後でもしもしさせてね」


その言葉を言ってから、葵の顔つきが変わった。