外来が終わって、時間に少しだけ余裕があったから、院内をブラブラしてたら、見知った顔の子が俺の前を横切った。

ん?みぃちゃん??

え?走ってる?

ちょっと待って待ってー。

思わず俺はみぃちゃを追いかけた。

みぃちゃんにすぐに追い付いて、腕を掴むと驚いた顔で振り返ったみぃちゃん。


「っっ‼ ま、まとくん……」

「みいちゃん、こんなところまで走ってどうしたの?って走っちゃダメじゃないの?」

「……ふぇ」

突然涙をポロポロ流し始めたみぃちゃん。

「ちょ……。どうしたの?みぃちゃんっ」

突然泣き出したみぃちゃんに俺の方が焦る。

「ヒック……葵と……グス……」

「ん?葵とどうしたの?」

「…………ヒック、喧嘩した」

「喧嘩?」

俺の言葉にコクンと頷いたみぃちゃん。

「病院で?」

「…………うん」

痴話喧嘩?

うーん、でもこの二人は病院でそんなこと、しないだろうし……


取り敢えず、診察室に連れていこうか。

この時間は誰もいないし。

そう思い、診察室へ向かった。

その頃にはみぃちゃんの涙も落ち着いていた。



「みぃちゃん。葵、呼ぶ?」

診察の椅子に座らせてから、話をする。

「やだ……」

「日向か司呼ぶ?」

「っ‼ だめ‼ 私帰る」

「わ、分かった分かった。司も日向も呼ばないよ」