「たにぐちせんせい。えほんおわったよー」

舞ちゃんが律儀に報告してくれた。

「舞ちゃん、教えてくれてありがとう。先生はみぃお姉ちゃんとお話があるから、みんなで遊べるかな?」

「「「はぁい」」」

子どもはやっぱり素直だな。


みぃの手をそっと引いて、近くの診察室に入る。

パタン

ドアを閉めて、診察室で二人きり。

他の患者さんに聞かれちゃまずいしな。




「…………みぃ。どういうつもりかな?」

いつもより低く出た声にみぃの体がビクッと揺れる。

「えっと…」

「司さんに許可まだ貰ってないよな?それなのに勝手なことしちゃ、ダメだろ?」

「だって……」

「だってじゃない。また入院したいの?」

俺の言葉を聞いて、みぃの目に涙か溜まる。

「泣いてもだめ。今回はみぃが悪いよ」


「………………そんなこと、分かってるっ‼‼」

珍しくみぃが逆ギレだ。

でもここは冷静にいかないと……

「分かってるんだったら、尚更ダメじゃん。ボランティアも仕事も許可が下りてからだって言われてたでしょ?」

みぃは言いたいことがあるはずなのに、唇をギュッと噛んだまま、何も言わない。