早く治したい気持ちはあるけれど、なかなか気持ちと身体は連動しなくて……

下がり始めると、喉の痛みもなくなり、少しずつ水分も取れるようになったけど…………

まだまだ高熱は続いていて、回復の兆しはなかなか見えなかった。

桜もよく顔を出してくれた。


「みぃ、調子どう?」

「さくら……」

苦笑いをこぼすと、

「うん。焦らなくていいからね。みぃのペースでいいんだよ。みんなちゃんと待っててくれるから」

頭を撫でてくれる桜の優しい言葉に涙が溢れる。

「泣かない、泣かない。少しずつ良くなってるんだから、大丈夫だよ」

「うん、ありがと」

「またみぃが元気になったら、話したいこと沢山あるの。だからその時に沢山お喋りしようね」

桜は、私に元気になった後の楽しみを与えてくれた。


そんな中、ふとチェックシートに目を通して、さりげなく手首を掴んでくるあたり、看護師らしい行動だった。

「あまり良くない?」

「そんなことないよ。だけど、熱が高いのはしんどいね………水枕交換しようか。準備してくるね」

私の担当じゃないのに、優しいな……

「お待たせ」

桜はすぐに戻ってきてくれた。

「桜……ありがと」

「いいえ。他にしてほしいことない?」

「うん。大丈夫」