暫くすると美晴は目を覚ました。


『ケホケホッ、コホコホッ……』

少し咳き込んだ美晴。

『みぃ。大丈夫だからゆっくり呼吸してごらん?』

兄貴の声に答えるように従う美晴。

俺はナースコールを押した。

『スー…ケホケホ…ハー…コホコホ』

『上手だよ~』

美晴は落ち着いたのか、ぐったりと兄貴に凭れた。


『彼方くん、日向くん。知らせてくれてありがとう』

宮本さんと森先生が駆けつけてくれた。

『少し咳き込みが続いたんですけど、すぐに治まりました』

兄貴の言葉を聞いた森先生は美晴をベッドに横たわらせて、すぐに診察をしてくれた。

『うん。大丈夫だよ。検査で疲れが出たかな……。みぃちゃん眠れそう?』

森先生の声に小さく首を振る美晴。

『美晴、傍にいるから怖くないよ。大丈夫』

そういって頭を撫でると、ゆっくりと腕を伸ばしてきた。

『ん?どうした?』

そっと美晴の手を握る。

『ここにいて』

不安になったかな……

『大丈夫だよ。俺も兄貴もここにいるから』

その言葉を聞いて、美晴は安心したのか眠りについた。


『みぃ、不安なんだな……一人の時の発作は怖いもんな』

『森先生、今日美晴の傍に居る事って出来ますか?』

『発作起こりそうだしね……みぃちゃんの希望もあるし、傍にいてあげてくれるかな?』

『『もちろんです』』

俺と兄貴は声を揃えた。


美晴の希望に応えられて良かった……


小学校3.4年の時まではこうやって甘えてくれてたんだけど、いつしか美晴は、俺たちに甘えることをしなくなったんだよな……

司さんが主治医になってくれて、葵が彼氏になってくれてからは、甘え方を思い出したのか、少しずつ甘えてくれていることは嬉しい。

これからも美晴にとって甘えられる存在でいたいな……