美晴の小さな声にも反応してくれる森先生。

『そっかー。痛いのもだけど、一人になるのも嫌なんだね。分かった。今日は日向くんが居てくれてるし、一緒に居ても大丈夫なところは一緒に居てもらおうか』

森先生の言葉を聞いて、美晴はパッと顔を上げた。

『いいの?』

『いつも頑張ってるみぃちゃんへのご褒美だよ』

先生の言葉を聞いて、安心したのかにっこり微笑んだ美晴。

『せんせ、ありがとう。みぃがんばる』

それから美晴は今日こなす分の検査を泣かずに受けることができた。  

一人で受けるのが嫌だったんだろう。

いつもわがままを言わない、美晴の小さなワガママを俺は叶えてあげたいと思う。

『みぃちゃん。後はこれで終わりだよ。よく頑張ったね』

そう言う森先生の手には、酸素濃度を測る検査機があった。

指に付けるだけで痛くないようで、美晴もホッとして、大人しく手を差し出した。

すぐに終わった検査だったけど、森先生の表情は少し固い。

『みぃちゃん。今苦しくない?』

森先生の問いかけに小さく首を振る美晴。

『良くないですか?』

『数値が少し低くてね……息苦しいはずなんだけど』

美晴を見つめながら、言葉を発する森先生。

『とりあえず、これで検査は終わりだから病室戻ろうか』

森先生は美晴の状態を見ながら、ゆっくりできる場所を提案してくれた。