泣いていた森君は
逃げるように走り去って
章弘はあたしの
斜め上に立っていた


地面に突っ伏したままの
あたしを
章弘は振り返った


その顔には
怒りと悲しみと
どうすればいいか
分からない
行き場をなくした思いが
混ぜこぜになっていた


その顔を見て
あたしは
とにかく悲しくなった

泣きたくなった



裏切られた


章弘はきっと
そう思ったに違いない

それから一週間は
口を利いてもらえなかった


普通の人なら
理解できないと思う

でも
あたし達には
他に何もなかったから

学校とゆう場では
お互いだけが
味方だったから
信じられたから

だからこれは
大問題だった