2年生も
章弘とはおんなじクラスだった


相変わらず
二人は周りに溶け込めず
浮いた者同士が
より浮いたものになっていた


あたしは
章弘と一緒にいるのが
当たり前になって
いつでもいてくれる
その存在を
頼りにしてた


章弘もきっと
そう思ってくれていた

あたしは一人
思っている



忘れもしない



夏休み明けの
始業式の出来事


習字道具を片手に
学校の中庭を
プラプラ帰っていた
時のことだった


あたしが習いに行っている
ピアノ教室の前の家に
住んでいる
森君が話しかけてきた


誰かに話しかけられることは
珍しかった


「昨日ピアノ来とったな」

「うん、森君見たで」

「俺も見た」


たいした話ではなかった

見かけただの
家が近いから
ピアノの音が聞こえるだの
そんなことを
話しながら
歩いて帰っていただけだった


けれど


章弘にとっては
きっととんでもなく
不愉快なことだったんだろう



ドンッ!!



ランドセル越しに
鈍い衝撃があった後
顔と体がすごい勢いで
コンクリートの地面に
叩きつけられた


あたしは
地面に倒れていた


章弘が
あたしを後ろから蹴ったんだ


そのあと
森君まで蹴って
泣かせていた


何が起こったのか
あたしは分からないまま

ただただ
章弘の後姿を見ていた