章弘の死を
受け入れて
月日がどんどん
過ぎていっても
たまに急に
泣くことがあった


特に
雪が降った日は
思い出すことが多すぎて
寂しくて悲しくて
どうしようもなかった


もう
あったかいあの手は
この世には
存在しないんだなぁ…


未だに不思議と
そのあたりの実感が
まだわかない


手袋をはずせば
後ろからそっと
あったかい手が
包んでくれそうな気がする


振り向けば
章弘が
はにかんだ笑顔で
立っているような気がする


「何しとるねん」って
笑って言ってくれそうな
そんな気がする


あたしは淡く甘い
夢のようなひと時を
もう
思い出としてしか
覚えていられない


章弘は
どんな思いを抱いて
旅立ったんだろう



何も聞けないまま
何もいえないまま



あたしと章弘の
不安定で
形のはっきりしない恋は
終わった


だけど



あたしは今でも
想ってるよ


今もまだ
章弘が好きだよ…