毎日毎日
何度もアルバムを見ては
章弘を想った


ずっと
その顔を見ていた


にらむように映った写真
無表情な写真
なんだか悲しそうな写真


その章弘も
あたしの知ってる
章弘じゃなかった


だけど
それでも
見ていたかった



そうしないと
章弘を忘れてしまいそうで

いつか
顔を忘れてしまう日が
くるような気がして

なんだか無性に
焦った



人は
忘れる生き物だから
生きていける



そんな話を
章弘としたことがある



「悪いテストの点とか、
怖い夢とか、
いつまでも覚えとったら
生きていけんやろ?」


そういってた



確かにそうだねって
あたしも笑った



でもね章弘



あたしは
忘れたくないよ


章弘のことは
どんなに悲しいことも
嫌なことも


死ぬまでずっと
覚えていたい