話し始めたのは
学年主任の
山川先生だった

いつも口うるさい
50歳半ばくらいの
男の先生で
指導係も兼任しているほどだ

優しさと厳しさを
兼ねそろえている
なんて
他の先生は言っていたけど
あたしたち生徒には
とっつきにくい人だった



「えー、みなさんおはようございます。
今日集まってもらったのは、
知っている人もいるかもしれないけれど、
3組の西田君が、えー…
先日のお昼過ぎに、事故にあい…
亡くなりました」

めったにない程の
静けさが
体育館中に広がっていった

冷たくて
湿ったように
重い空気が
充満しつつある
その場所に

あたしはなぜか
少しずつ
押しつぶされるような
重圧を感じた


「みんなもね、見たり聞いたりで知っているだろうけども、
あまり学校の方には来ていなかったんですね、彼は。
でも、この夏休みに入って、これではいかんとゆうことで、
自分から、おじさんがされている工場を手伝いに行っていって、
真面目にがんばっていたとゆうことを聞いています」


そうだったんだ


章弘は
やっぱり
腐ってなかった


章弘は
やっぱり
誇り高い
優しい子


それで
間違ってなかった


章弘…


がんばって
もがいて
出口を見つけてたんだね



何も知らなかった
章弘の決意を
今になって
初めて知った