お通夜もお葬式も
結局いかないまま過ぎていった


あたしは昨日も今日も
何一つ変わらない朝を
迎えていた


心に穴が開くわけでもなく
涙が出るわけでもなく
放心状態になるわけでもなく


たまにふと
空を見上げて思った



章弘は死んじゃったのか



台本のセリフを
棒読みするように
感情のこもらない
言葉だった


お葬式の次の日
緊急の学年集会が開かれた

章弘の事故の
説明のような集まりだ


登校日でもないのに
夏休みに
生徒がみんな集まった

もちろん
あたしも学校へ行った


体育館に入ると
みんなはざわざわとしていた

誰もがもう
何が起こったか知っていた

悲しむ人は
見当たらなかった


「西田君が死んだんやろ?」

「事故やって」

「バイク乗っとったんちゃうん?」


根拠のない言葉たちが
宙を飛び交っている


わずらわしくて
小声なのに
とてもうるさく感じた


先生が前に立って
マイクを持って話し始めた