連絡網でも
町内放送でも
章弘のお通夜の
知らせが届いた

でも
あたしの心の中にまでは
どうしても
届かなかった


章弘が死んだ


それが
どうゆうことなのか
よく分からなかった

もうこの世にはいない
もう会うことはできない

それくらいは
分かってても
それがどうゆうことかも
よく分からなかった


頭の中の回路が
完全にショートしきっていた


その日の夕方
友達から電話が来た


「紗世、お通夜行くやろ?
一緒にいかへん?」

「…あたし、行かん」

「え?!なんで?」

「あたしはええわ」

「そうなん…分かった」


何も知らない友達は
不思議そうに電話を切った


章弘は死んだ


もうすぐ
章弘のお通夜が始まる


あたしは自分の部屋の窓から
沈んでいく夕日を
眺めていた


「章弘…あたしサボリかな?」


独り言のように
こぼれ落ちた言葉だった


小学校の時に
二人して
授業をサボった時のような
感覚に近かったかもしれない


現実味のない場所へ行って
抜け殻のような
章弘と会うより

こうしているほうが
よっぽど
章弘を近くに
感じていたから


章弘とゆう形あるものが
この世からなくなるとゆうことを
うまく理解できていなかった