梅雨が明けて
それと同時に
暑い暑い夏が
始まろうとしていた

3年生も章弘と
同じクラスになれなくて
落ち込んだ日々からは
ずいぶんたった

あたしはあの頃
恋焦がれるよりも
おかしな形でだけど
安定した恋に
浸っていたのかもしれない

会えなくても
章弘のことは知ってる
分かってるなんて
うぬぼれていたのかもしれない


あまりに浅はかで
愚かな考えだった


全てをジリジリ焼くように
本格的な夏が来て
道端にも校庭にも
キレイな緑色が
あふれ出していた


いろんなものが
新しく育つ
美しい季節



はじまりの月



汗を流しながら
走るグラウンド


息を切らして泳ぐ
プールでの水泳


ひと時の自由の
夏休み


章弘は何を感じて
何を楽しみに
していたんだろう


何をしてみたかった?


あたしは結局
何も知らなかった


今でも
優柔不断にしていた自分に
腹が立つ


何もできなかった自分を
後ろめたくなる


ねぇ章弘
怒っていいよ