「学校こん時どうしとん?」

「まぁ、ぼちぼちやっとるわ」

「ぼちぼちってなんよ」

「心配するなって」


誰も心配してるなんて
言ってません

そう言ってやりたかったけど
間違ってないから
何も言えなかった

それから
章弘の家まで
たわいもない話が続いた

章弘の家の犬の話
最近見ているマンガの話
雨がキライなこと
寝不足なこと


とりとめのない
でも
愛しい愛しい
穏やかな時間が流れた


変わらない口調
変わらない笑顔


ずっとずっと
変わらずこのままだと思ってた


ずっとずっと
章弘は章弘で存在し続けると


そう


疑いもせず
思っていた


「じゃあな」

「うん、またね」

「ばいばい」

「ばいばい」


そう言って
章弘の家の前で別れた




これが
さよならへの
カウントダウンの
始まりだとも知らずに