傷口を洗って
どこからか
持ってきた絆創膏を
章弘が貼ってくれた


「血、止まるかな?」

「大丈夫、すぐ止まるって」

「痛い?」

「ううん、痛くない」


意外にも
あたしより
章弘の方が
落ち着かないでいた

ほんとは
結構痛かった

でも
章弘があんまりにも
心配そうだったから
痛くないフリをした

また
新しい章弘を
見れた気がして
なんだか
得した気持ちになった


「これ食べよ」

「これカード付いとるやつやん!」


例の少年アニメの
カード付きのおかしだった


「何が入っとるやろな?」

「あけよ!あけよ!」


結局カードは
二人の興味がない
ザコキャラだった

顔を見合わせて
はしゃぎすぎた自分達を
大笑いした


なんでもない時間


でも
二人には
何より安心できる
幸せな時間


敵のいない
二人だけの世界