ただ、愛してる。

今思えば、私はとんでもない人にあんな恥ずかしい逆ギレをしたんだな…

思い返すと凄く恥ずかしい!


「で?」

中津さんは私の腕からスルリと手を離すと、腕を組みながら窓際にもたれ掛かった。


「…で?、とは?」

「アイツとはどうなんだ。もう大丈夫なのか?」

「あ、はい。連絡もなければ、もう会ってもいません」


もしかして、ずっと心配してくれたのかな?

何だろ。
胸がソワソワする。

私の返事を聞いて、小さいため息をこぼす中津さん。

ホッとしてるのかな?
…なんて、この時の私は、中津さんの行動や言葉1つ1つに、都合のいいように受け取っていた。


「じゃぁ、俺はもう行くよ」

「え、あ、あの!」


私の隣を通りすぎて、会議室から出ようとする中津さんの腕を思わず掴んだ。


「?」

「えっと、」


何してんの、私。

自分の行動に驚きながら、やってしまった今の状況をどうするか言葉を探していると、


「大丈夫、あの時のことは誰にも言わない」


中津さんはそう言いながら、私の頭にポンッと手を置いて出ていってしまった。