「こちらでお待ちくださいませ」

『はい』







私は、意味もなくカバンの中から携帯を取り出して明かりをつけた。





でも…誰からも連絡は入っていない。





私、何期待しているんだろう。

未練タラタラで、逆に気持ち悪い。





『リュウです。よろしくね。お隣いいですか?」

『あ、はい。どうぞ』




と、言ったものの…

座られると、近すぎて少し離れた。






「お名前は?」

『美愛』




小さな声で呟いた。





あまり、好きな名前じゃない。

だって、あの人がつけた名前だから。