ユミはいつも突拍子もないことを言う。


「え?なんでだよ。」

「サトルはさ、この先ずっとわたしたちは一緒にいると思う?」

「何言ってんだよ、当たり前だろ。」

「それならさ、未来に行ってみない?」

「未来って‥いつだよ!」

「んーそうだね。10年後かな。」


10年後か‥‥俺にはユミと幸せな家庭をもっている想像がつく。自信があった。


俺たちはあの占い師がいた細い路地へと向かう。この時から同じ場所にいたのかは分からないが。


あっ‥‥


あの占い師がそこにはいた。


「すいません、わたしたち2人を10年後の未来に連れてって欲しいんですけど‥‥。」

「承知した。」


「サトル。向こうで‥またね。」

「おう。」










俺は目が覚めると、公園のベンチで寝ていた。


えっ‥俺の10年後って、もしかしてホームレスか何かなのか?
眩しい太陽が照りつける。


「パパー起きて!向こうでママと一緒に遊ぼうよー!」


ん‥?
知らない男の子が俺の横に立っていた。


「パパって‥‥俺のこと?」

「そうだよ!早く行くよー!」


俺はその男の子に手を引っ張られ、公園の中央の方へと向かう。


「ママー!パパ起こしてきたよー!」


そのママと呼ばれる女性の後ろ姿は、どこかユミに似ていて‥


ユ‥ユミ?


‥‥ではない。


「エ、エリ?」

「あ、パパやっと起きたのー。そろそろスーパー行く時間だから帰るわよ。」














「これで本当によかったのかい?」

「ええ。本来わたしとサトルは出会うはずのない人同士。すべて元に戻っただけ‥ただ、それだけだから。協力ありがとう、占い師さん。」










運命のヒト。
そんなヒトはどこにも存在しない。
運命は自分自身で切り開くものだから。