「…慰めて、あげようか?」 クスリと笑ったこのフェロモンたっぷりの男に、あたしは黙って手を取られる。 こんなの最悪だ。 だけど今のあたしにはまともな判断が出来ないくらいに落ちぶれていて、感情の無い瞳で鮮やかな街中を見つめていた。 「寧ろラッキーって感じ。市川ちゃん、ガード固いから」 陽気な日高さんはさらにあたしの腰に手を回してきては、その距離を詰めて歩いていた。