「君は何もできないのかね…?」 「…すいません」 「大した仕事もしていないし…」 「…はい」 ヒラヒラと見せてくるのは本社製品の在庫数とその価格の報告書。 仕入価格の合計を0を一つ多く入力してしまったあたしのミスを、このハゲ課長は他の事を棚に上げて責め立てる。 「与えられた仕事もろくにこなせないなんて、これからやっていけるのかね?」 「……」 それはいつもの小言。 実は今までもこんな小言は嫌なほど聞かされてきた。