不器用な恋に、口付けを。








…なんて思いながら中に入ったあたしはポケットから煙草のケースを取り出そうと、した。



────けれど、





「…まーた溜息?」





それは何とも言えない甘い声。



てっきり誰もいないと思っていたそこから聞こえてきたそれに、まんまとあたしの胸は大きく揺れ動く。



…ピクリと、固まったあたしはきっと、相当分かりやすい。