私がここへ来てから大体二ヶ月と少し経った。
どんどん妖の世界に順応していった。

変わったのは私が和菓子を作り始めた事と四季神の奥さんである七無さんと出会った事、着物の力を使える様になっただけ。
和菓子は行商に来る度に白音が所望していたから、家の倉庫をあさぐって見つけた教本を元にして、ラウリに読み上げて貰いつつ覚えた。

七無さんは桃色の髪をツインテールにして、オレンジ色のやや釣り上がった瞳が特徴の女性だ。
顔立ちは笑顔が可愛い美少女だ。
明るいチャキチャキとした人で四季神は完全に尻に敷かれている。
よく笑う人で話は尽きなかった。一緒に居て楽しかった。

力に関しては基本的な力の出し方をラウリや迷い家に習って身に付けた。

力は『蒼桜(アオザクラ)』と『蒼龍(ソウリュウ)』。

名前の通り、蒼桜は青い桜の花弁を操るものだ。
しかし、花弁の固さを変える事が出来て、攻撃にも守備なれる。

蒼龍は青い龍を召喚出来る。龍自体に自我は無いけど、絶対に命令を聞いてくれる。
この子のお陰で麓の村まで着く時間が早くなったから助かった。



変わったのはその程度で来夢達と何の会話をしたか覚えて居ないし、記憶の進展も一切無い。
いっそ一生ここに住もうかなと思えてきている。

だけど、あの時の紙は消えていた。一度使ったら消えるのか、或いはラウリが……。夢? の時以来、来夢とは出会っていないけど……。