私は瞳を開く。そこは何も無いまっさらな世界に居た。でも、意識はハッキリしている。

試しに頬を抓ってみる。痛くない。

「あの話は本当だったんだ……」

半信半疑だったのが確信へと変わる。真っ直ぐ進めばどうにかなる筈だ。多分。
前を向くとあった。和風ではなく普通の一軒家が立っている。鉄製の門に表札は掛けられていない。

恐らくここがあの妖が住んでいる所だろう。いや、住んでいるに決まっている。

門の横にはインターホンがある。私は迷わず押した。

ピーンポーンパーンポーン

「!?」

迷子のアナウンスを行う音と同じ!? 驚いて少し後ずさった。