「あぁ〜…そりゃ困る。俺はお前の事嫌いじゃねーけど、好きでもねーし…。キスしたのは、お前がデカイ声出したから。」



一瞬、時が止まる…。

でもこれが俺の本心だった。





「それは…、私がどんなに頑張っても、変わる事ないですか……?」




さっきとは一転して深刻そうな顔で聞いてきた菜穂に、俺は冷たく「ない」とだけ返事した。 




「………それでも、私は先輩の傍にいたい…です。」



「…いいよ。」



「ええっ!?いいんですか!!?」





「うん…。気が変わった…。その代わり、俺の気持ちがお前に向くことは絶対ないよ?」





「それでもいいんです…。先輩と一緒に居られるなら…………」








―――この日を境に、俺達の関係は始まった…。




こんな体だけの関係が、気が付けばもう半年も続いている…。



最初は一緒にいても何をするわけでもなく、ただゲームをしたり、菜穂の話しを聞いてたりしただけだった。



でも、密室に2人きりの空間に俺が耐えられるはずもなく、いつの間にか人には言えないような関係になっていた。 



絶対人を好きになる事はない。 


そう思っていた俺の気持ちは音をたてて崩れだす…。




この気持ちに気付くのは遅すぎた…。

だって俺は取り返しのつかない事をしてしまったから………。




でも、どうか最後にもう一度だけ………。