嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「正輝っ……」


普通に声を出したつもりだった。
いつもと同じ様に。

だけど。
掠れた声が、今の私の心を表しているかの様だった。

多分、キミはそのたったひと言で。
私の気持ちを見抜いてしまうから。

どうしても、どうしても顔が上げられなかった。

机にしがみ付いて。
必死に体の震えを抑えようとするけれど。
その裏腹に小刻みに肩が揺れていく。


「和葉……」


驚きと悲しみが交じり合った声。
顔を見なくたって。
今キミがどんな顔をしているかなんて容易に想像がつく。

眉を下げて、奥歯を噛みしめて。
辛そうに、苦しそうに。
私を見ているんだ。


「ごめっ……」


謝ろうとしたけれど。
それ以上声が出なくて。
ただ机に体を預ける事しか出来なかった。