嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「終わったー!!」

「これで心置きなく夏休みが遅れる!!」

「その前にテストが返って来るけどな」


いつも以上に騒がしい教室。
それもそうだろう。
たった今、最後のテストが終わったんだ。
騒がない訳がない。
嬉しいのも、ホッとするのも。
私も同じで。
緊張が解けた様に机に俯せていた。

凄く頑張った。
今回は特に。

自分で自分を褒めていれば誰かの声が耳に入ってくる。
可愛らしい声と少し低い声。
由香里ちゃんと有紗ちゃんだろうなーって頭の片隅で考えていれば、その会話にドクンと胸が高鳴った。


「昨日のテレビでさ!人の心の声が聞こえる人間の話がやっててさ!!」

「観た観た!胡散臭いよね!!」


人の“心の声”が聞こえる。
それは正に私の事で。
胡散臭いというか、ココにそれが出来る人がいるんだけどな。
そう、苦笑いを浮かべていれば。
2人はどんどんと話しを進めていた。


「でもさ、本当に出来たら凄くない!?」

「うん!何でも分かっちゃうもんね!」

「アタシも聞こえる様になりたいな!」


有紗ちゃん、由香里ちゃん。
そんなにいいモノじゃないからお勧めはしないよ。
そんな風に呑気な事を考えていれば、胸に突き刺さる言葉が入ってきた。


「でもさ、実際にいたら気持ち悪いよね」

「ああ!
って言うか人の心の声を聞くとか趣味悪すぎだよな」

「うんうん!
だって、プライバシーの侵害じゃん!」

「だよな!つーか犯罪?キモイって!!」

「犯罪になるかは知らないけど、気持ち悪いよね!!」


楽しそうに笑う2人の声。
いつもだったら、平然な顔をしていられるけれど。
今日は駄目だ。
こんな会話を聞いたら、笑顔なんて……。